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2007.01/22(Mon)

DRUNKEN関係過去記事のまとめですv 

DRUNKEN  「つづき」を書いて下さる方へ [2006 / 09 / 23(sat)]


「つづき」を書いて下さる方へ
◆注意事項◆

※続きを書いていただくにあたっては、以下の通り、幾つか条件がございます
 ので、よろしくご理解の上、ご執筆くださいませ(^^;)


【条件その1】
◇続きは現在UPされている章に繋げる形でコメント欄or掲示板にカキコ
 願います。
 書き込みいただいた文章は管理人が責任をもってリレー小説欄に転載致します。
◇次回は4章になります。長さは特に指定しませんが、常識の範囲内で
 お願いします(^^;)
◇〆切はUPされた日付から1週間以内とし、その間に応募がない場合は
 (仕方がないので)管理人が続きを書かせて頂きます。
◇プロットのみの応募の場合も管理人が実際の文章を作成いたします。

【条件その2】
◇主要登場人物は、霧原兄弟と友枝麻理子の3人です。
◇その他のNIGHT HEADキャラを登場させる場合はその後の話の筋にあまり 
 影響がない程度に出していただき、オリジナルなキャラクターを登場させる
 場合は、登場から退場まで、その章の中で結着がつくように書いて下さい。

【条件その3】
◇大まかなストーリーはこちらで予め用意させて頂きますので、
 そこから著しく逸脱しないようにお願いします。
◇「概要」は以下の通り
 この後、3人はホテル内のどこかで酒を飲み始め、直人と麻理子はしたたかに
 酔っぱらいますが、あまり飲まない(飲めない?)直也は1人だけ素面で取り
 残され、怒り上戸(笑)の直人と彼に絡む麻理子を持て余します。
 何とか部屋に戻るも、麻理子に自分のベッドを占領されてしまい・・・・・
 以下は腐女子的想像力をイカンなく発揮され、むふふ的兄弟関係を展開して
 いって頂ければ、と思っておりますv(をい)
 

その他、何かお気づきの点がございましたらご指摘頂ければ幸いです。
以上、他力本願色の濃い企画ではございますが、どうか宜しくおつきあいの
ほど、お願い致します(^^)



*************************************************************




お願いセニョリータm(_ _)m [2006 / 10 / 26 (Thu)]


~★~saekoさん~☆~シシーさん~★~

当ブログのリレー小説にご協力いただき、管理人一同深く御礼申し上げます。
おかげ様で、友枝麻理子編完結の運びと相成りましたv(^^)

さて、10月26日のコメント(かぼちゃミントの行方)でも触れたのですが、
皆様、裏7章をお書きになられませんか?
ホント、お願いばかりで恐縮ですが。
各々の個性の違いが見えて面白いかと思います。
もちろん、××萌え場面大歓迎!
長さ・形式自由です。
当該エントリーのコメント欄に「管理人のみ閲覧」で入れて下さる形で結構です。
その後はsikoさんが上手く処理して下さいますからご安心を。

以上、秋の゛裏7章まつり”開催のお知らせでした。
皆様のたぎる萌魂の原稿、お待ち申し上げておりますわ。




**************************************************************




BARの方で裏7章祭のPRをさせていただいております(^^;) [2006 / 11 / 19 (Sun)]

シシーさん、saekoさん、パタさん、
勝手にお話の一文を引用しちゃってスイマセン。
いや、でも皆さん、それぞれにぐぐっと来る文章で、
どんな話かしら?と興味をそそられるではありませんか!
(↑単なる思いつきを自画自賛)


そして、シシーさん、saekoさんには、改めまして、
当ブログへのリンクを、ありがとうございました!
で、気がついたのですが、
「うち、バナー作ってないじゃん!」
ということで、こんなん作ってみました(おい)
         ↓
さすらいの煩悩配達人ブログバナー


よ、よろしかったら使っていただけます?
因みに、BARの方のバナーは、こんなんです。
         ↓
BAR'sバナー

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EDIT  |  21:43 |  リレー小説  | CM(2) | Top↑

2006.12/23(Sat)

x’masイブイブということで・・・ 

裏7章その5(C☆さん作)をUPしました!
BL度☆5つですよ、NHG腐女子の皆さんv

作者のC☆さんいわく、
「どっちにしても、麻理子さん、よく起きなかったねwという感じですね。
 むしろ起きても寝たふりを貫いたのではないかとさえ・・・」
あはははは!
いやはや、泥酔して熟睡した麻理子さえも目覚めるほどの激しい×××(おいっ)
や、でも実は麻理子=隠れ腐女子説もあることですし(はい?)
だとするとここはやっぱり、寝たふりしつつ様子を窺っていた、と
いう方が自然、というか、うおおっ、羨ましいぞ、麻理子!(殴)
・・・失礼しました、思わず私情が。

それではNHG霧原兄弟フリークな皆さん、存分にお楽しみ下さいませv
ところで、あなたは18歳以上の腐女子ですか?

      はい!     いいえ
EDIT  |  12:45 |  リレー小説  | CM(4) | Top↑

2006.11/24(Fri)

2006年末大感謝祭!リレー小説裏7章祭! 

というわけで、リレー小説7章の裏バージョンが出そろいました!
MIDARAバトンに続き、4人の兄弟萌ナイトヘッダーがエロ度全開の
裏話を展開しておりますvvv

が、やはりここは誰でもvというわけにはいきませんので、
まずは読者様には、以下の質問にお答え願います。

Q.あなたはNIGHT HEADをこよなく愛する18歳以上の腐女子でしょうか?


      はい!     いいえ


*「はい!」の方は、心おきなく18禁扉へとお進み下さいませ。
 「いいえ」の方、リレー小説の結末は表7バージョンということで
ご納得下さいますよう(^^;)

テーマ : BL小説 - ジャンル : 小説・文学

EDIT  |  00:31 |  リレー小説  | CM(4) | Top↑

2006.11/19(Sun)

Com' Soon! 裏7章祭v 

出そろって参りました、リレー小説7章裏バージョン!
ということで、ちょこっとUP予告をさせていただきますv



    realpsiobsessionfakeawakeningsvictims



兄さんと離れて生きられるのだろうか、僕は?



    missingmightmarecomatriggerprophcy



(冷えようがない、絶対零度の愛、か)



    drugnightheadtheothersidetheapartment



知らぬ者なら無邪気に恋と呼ぶだろう。



    confessionshadowapocalypseasaint



  リアルなのはどっちの欲望だ?



    utopiagiftedforcekarmatheark



   え、誰がどれを書いたかわからない?
   や、そこは想像して下さいよ(笑)

  COMMING SOON!でございます(^^;)


EDIT  |  10:50 |  リレー小説  | CM(0) | Top↑

2006.09/10(Sun)

DRUNKEN ~その①友枝麻理子~    

「 NIGHT HEAD GENESISI 」放映記念☆読者参加型リレー小説
 * ドラマ版エピソード11「 DRUG ~薬物~ 」その後のお話です(^^;)


        DRUNKEN  ~ その①友枝麻理子 ~





             第1章             by siko



 ・・・・・というわけで、御厨が送ってきたあやしい薬物とYの出現により、
 悲惨な目にあった兄弟がぐったり疲れきってホテルに戻ってくると、
 友枝麻理子が2人を待ちかまえていたのだった。
 例によって、故意にか天然なのかは不明だが、全く麻理子に気づこうと
 しない直人に、
「兄さん、麻理子さんがいるよ」
 と直也が声を掛ける。
 さっきさんざん泣いた後なので、腫れぼったくなった顔を見られるのが
 こっ恥ずかしいのか、麻理子に近づいて行くに従い、段々うつむき加減に
 なってとうとう兄の後ろに隠れてしまった。
 直人はまだ腹立ちが収まらないのか、険しい表情を隠しもせずに、
「何だ、何の用だ」
 と、つっけんどんな調子で麻理子に言った。
 さすがに麻理子の方でも、むっとした顔になり、それでも、
「心配だったから様子を見に来たんじゃない」
 と答える。
 ふん、と直人は鼻に皺を寄せ、唇の片端で冷ややかに笑った。
 それは薬に頼ろうとして見事に裏切られてしまった自分たちの惨めさや
 弱さを自嘲する笑いだったのだが、麻理子にはもちろん通じない。
 またしても自分はこの男に拒まれたのか、と悲しく思い、ひどいじゃない、
 と内心で愚痴りつつも、そんな感情の揺れを微塵も見せず、
「どうだった、薬は効いたの?」
 と冷静に訊くあたり、さすが理系の女だ。(何が、さすが、なんだか
 書き手にもよくわからない)
 だが、直人は相変わらず不機嫌なままに、
「話すことなんか何もない」
 と吐き捨てるように言った。
「帰って御厨に言え。薬なんか何の役にも立たなかった、おれたちはもう
 二度とあんなものに頼らない、ってな」
 麻理子は鼻白んだ顔つきでちょっと黙り込み、直人から彼の後ろにいる
 直也に視線を移した。
 その時、ようやく彼の様子がいつもと違うことに気づき、麻理子は眉を
 ひそめた。
 何かに手ひどく裏切られた後の、深い絶望の翳りは、直人とも共通する
 ものだったが、弟の方はその上更に意気阻喪して妙に青白い顔つきだ。
 ひどく恐ろしい、忌まわしいものを見てしまったあとのような。
 ぞっとしながらも麻理子は好奇心を抑えきれず、
「いったい何があったの?」
 と訊いた。
 直也が眩しげな目で麻理子をちらっと見て、
「・・・・・御厨さんが言ってたマイナスの存在が」
 と言いかけると、直人が素早くそれを遮った。
「直也!」
 はっとした顔になった麻理子は、
「マイナスの存在?」
 鸚鵡返しに訊いた。
「いったい、どうして・・・・・薬は効かなかったの?」
「ううん、最初は効いたんだ。でも・・・・・」
 言いかけて、直也はためらい、兄を見た。
 思い出すのも忌々しいのか、直人は仏頂面で黙っている。
 麻理子はため息をついた。
「とにかく、詳しい報告をしてもらいたいんだけど。私に話すのが嫌なら、
 あとで御厨さんに電話して」
 言われて直人は苛立ったようにそばの壁を平手で叩いた。
 彼が御厨と話すのを嫌がってるのは承知の上で言ったわけで、麻理子は
 動じる様子も見せず、涼しい顔つきで返事を待っている。
 結局、兄の不機嫌とその場の沈黙に耐えかねた直也が、
「兄さん。とりあえず、麻理子さんに部屋まで来てもらえば?」
 と言い、
「そうね、残った薬も回収しておきたいし」
 と麻理子がすらりと応じた。
 弟と目を見交わした直人は、相変わらず黙ったままだったが、仕方ないと
 いった顔つきでエレベーターの方へ顎をしゃくってみせた。





         
                  
              

             第2章             by パタ



エレベーターに乗り込むと、直人は7階のボタンを押した。
他人の目が届かない状況になったことに安心したのか、
直也の体がフラッと傾いた。
「直也!」
脊椎反射のように、直人の大きな手が力強く直也の肩を支えた。
「兄さ・・・」
支えを感じてホッとした直也は、条件反射のように直人に身を寄せた。
「だ、大丈夫?凄く顔色が悪いわ」
「駄目だ。薬の副作用がひどい」
「あなたは?あなたは、直人は大丈夫なの?」
「俺の方は大丈夫だ。体の方はな・・」
無表情に直人は答えた。
だがそれも、憔悴して自分に凭れ掛かっている直也に目を移すと、
心配そうな慈愛に満ちた表情へと変化して行った。
(そんな顔、私に1度たりとも見せてくれたことなかったわね)
そんな麻理子の思いを乗せたエレベーターはやがて7階に着いた。

「部屋まで歩けるか?」
「うん・・・何とか・・」
直人は直也を抱きかかえるようにして部屋の前まで連れて行くと、
わざわざ麻理子にルームキーを渡した。
「開けてくれ」
入室するとすぐさま直也をベッドに寝かせ、
上着や靴を脱がせたり、冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを出して来たりと、
母親が子供の世話を焼くように、実にまめまめしく動いていた。
それはまるで、そこに麻理子がいることが全く見えていないかのようだった。
しかも、エレベーターからここに至るまでの行為も、
直人はいつものことをいつものように行っているにすぎないのだが、
麻理子には兄弟の密着ぶりを見せつけられているかのように思われ、
嫉妬にも似た感情を覚えてしまうのだった。

「直也君は眠りそう?」
「ああ」
「だったら、外に出られる?2人だけで少し話もしたいし」
「駄目だ。こんな状態の直也を1人残していける訳ないだろう。
 それにお前は薬の回収をするだけじゃなかったのか?」
(彼の思考の中心はいつでも直也君・・・)
今更ながら愕然とする気持ちを何とか抑えて言葉を発した。
「弟思いね」
「悪いか?」
全く取り付くシマもない。
「食事はどうするの?ここで?」
「そうだ。経過報告もその時に一緒にする。
 何か食べ物を見繕って来るから、直也を頼む」
目を閉じた直也の横顔を見ているうちに、麻理子の中に嗜虐的な感情が
芽生えてきた。
「ねえ、ついでにお酒も買って来て。発泡酒は駄目よ。
 メーカーはどこのでもいいから、ビールと缶チューハイをお願い」
と言って、1万円札を手渡した。
「俺は使い走りか?」
札を受け取り直人は出て行った。           -以上-

        








             第3章             by siko




 白熱灯の柔らかな光がテーブルを照らしている。
 その向こうで、安らかな寝息をたてて直也は眠っていた。
 シーツの中に埋まった小さな顔は、幾らか血の気を取り戻したようだ。
 麻理子はベッドサイドに立って、そっと寝顔を覗き込む。
 御厨研究所にいた時から感じていたことだけれど、この少年は、外見が
 実年齢の5歳ぐらいは幼く見える。
 外の世界を知らずにある意味、純粋培養のように庇護されて育てられた
 せいなのか。
 疲れ果てて正体もなく眠り込んでいる様はいかにも頼りなげだ。
 直人でなくとも、ついつい親身になって面倒をみてやりたくもなる。
 けれど、実際に触れたりすれば、彼は苦痛を感じるだけなのだ、多分。
 そして、接触した側も無傷では済まない。
 心の奥底に潜む闇を否応なく暴き出され、目の前に突きつけられる。
 彼に触れなければ気づくこともなかっただろう、微細な悪の萌芽まで。
 到底、恐ろしくて触れることなどできやしない。
 それを恐ろしいと思っていないのは、兄の直人だけだ。
 彼だけが、直也に触れることができる、寄り添い、抱きしめてやることも。
 また、そうすることで直人自身も傷ついた己の心と孤独を慰撫してきたのだ。
 それはわかる、わかってはいるのだけれど。
 麻理子は苦笑して、すとんと椅子に腰掛けた。
 サイドテーブルに頬杖をつき、
「それにしたって、あんまりな態度じゃない? この子のことを大事に思う
 気持ちはわかるけど、少しぐらいは私のことも気に掛けてくれたって、
 バチは当たらないと思うんだけどなあ」
 独り言に愚痴をこぼすと、何だか余計せつなくなってきた。
 考えるほどに、どん詰まりになってゆく想念を振り払うように、麻理子は
 ため息混じりに椅子から立ち上がった。
 ゆっくりと仄暗い部屋を横切り、クローゼットにはめ込まれた鏡に向かう。
 自分の影に向かって小さく舌打ちすると、軽くジャブを繰り出した。
 そして、
「えいッ。もうこうなったら、今夜は徹底的に飲んでやるッ!」
 とヤケクソ気味に小さく叫んだのだった。





 コンビニのビニール袋の中を覗いて、麻理子は些か呆れた面持ちになった。
「あなたたち、いつもこんなものばっか食べてるわけ?」
  まるで、御厨研究所ではろくなもん食べてなかったみたいじゃない。
 胸の内でぶつくさ言いながら、おむすびとハンバーガーをテーブルの上に
 並べる。
 その他には、キリンラガーの6缶パックとタカラの缶チューハイに農協の
 オレンジジュース、そして何故か森永焼きプリン。
 コンビニの棚から直人がプリンを手に取るシーンを思い浮かべた途端、
 麻理子は思わず口元が緩んでしまった。
 直人は、ちらっと訝しげな目でそれを見、缶ビールのプルリングを引いた。
 ぷしゅっと空気が弾ける音がして、見る間に白い泡が噴き出す。
 すかさず麻理子がグラスを突き出すと、そこに無造作にビールを注いでやり、
 残りを缶から直接呷って、
「………しょうがないだろう、レストランに入って優雅に食事するなんて
 真似はできない身の上なんだから」
 ぼそっと言う。
 麻理子はちょっと眉をひそめて、軽くグラスを突きだした。
「………何だ?」
 と、戸惑った顔で訊く直人に、
「せっかく相手がいるんだから、乾杯ぐらいしてから飲んだら?」
 ふくれっ面で言い、更にグラスを突き出す。
 ぱこっと軽く直人の缶にぶつけたグラスの中身を、白い喉を仰け反らせて
 一気に飲み干す。
 ふーっと息をつくと、今度は缶チューハイに手をのばしてさっさと開け、
 手酌で自分のグラスに注いでぐいと呷るように飲む。
「さー、どんどんやってやって!」
 と片手をひらひらさせて言う。
 直人は憮然とした顔つきで缶の残りを飲み干した。
 その間に麻理子は残ったチューハイをもう一つのグラスに注ぎ、
「シークヮーサー味だって。ねえ、こっちも飲んでみて」
 と、直人に手渡す。
 成り行きで直人がそれを受け取ると、麻理子は再びグラスをぶつけた。
 今度はガラス同士がぶつかり合うコンという澄んだ音が部屋に響く。
 にんまり笑って、乾杯!と麻理子が言った。 

んん、と小さな吐息をついて、直也が寝返りをうった。
 直人が思わず腰を浮かせてそちらを見る。 
 だが、弟がまだ目覚めそうもないとわかると、再び椅子に座った。
 昼間の異変について、ぽつりぽつりと話し始めた矢先だった。
 だが、話の途中だということも忘れたように、直人は上の空でグラスに
 残ったビールを飲んでいる。
 麻理子は素知らぬ顔つきでおむすびのセロファンを剥いた。
 きれいに海苔を巻いてから、どうぞ、とばかりに直人に差し出したが、
 相手は全く気づかないままにハンバーガーを掴んで包み紙を破っていた。
 こいつは!と麻理子が睨み付けたが、直人は気掛かりそうな目を直也に
 向けたまま、ハンバーガーを口へ運んでいる。
 半分ほども食べてから、ふと気づいたように麻理子を見て、
「食わないのか?」
 と訊いた。
  全くこの男ときたら!
 弟が見た目5歳幼いとしたら、兄の方は精神年齢が実質その弟と大差ない
 どころか、10年以上前から成長止めてるとしか思えない。
「一度、言っときたいと思ったんだけど」
 息を大きく吸い込み、妙にドスのきいた低い声で麻理子が言った。
「もしかして直人って、対人関係における“中2病”なんじゃないの?」
「……は?」
 通じてない。
「あのさ」
 遠回しな皮肉では通じないと悟ってか、麻理子は言い直す。
「世間から隔離された場所で十数年間も過ごさなくちゃならなかったって
 こと、そのせいで、あんたたち兄弟の絆がすごく強固になってしまった、
 ってことは理解してるつもり。でもね」
 グラスを置いたテーブルの縁を、苛立たしげに指でとんとん叩き、
「あんたたちの寄り添い度ってものすごーく高くない?
 ハッキリ言って異常だわ、誰も入り込む隙がないほどの密着ぶりでさ、
 もしかしたら、あんたたちの中で互いの存在が混在してる状態なんじゃ
 ないかって気さえすんのよね」
「……………………」
「……………………」
 2人の間を、沈黙の天使が小躍りしながら通り過ぎてゆく。
「………何が言いたいのか、よくわからないんだが」
 直人の、いかにも自然な戸惑い方に、麻理子は脱力した。
「何だか食欲失せちゃった………後で食べるわ」
 成形したおむすびを皿代わりのカップソーサーに置いて、再び缶ビールを
 手にする。
「それで? 幻覚が見え出した後はどうなったわけ?」
 やけになったようにぐびぐびビールを流し込みながら話の続きを催促した。
 些か腑に落ちない顔つきでその様子を眺めながらも、直人は経過報告の
 続きに戻った。
 そして、話が終わる頃には缶ビールは最後の一本を残すのみとなった。

「全然、足りない」
 ほぼ出来上がった状態の麻理子がそう言って、すっくと椅子から立った。
「おい………」
 さすがに心配そうな顔で直人が声を掛けたが、
「今度は私が行って買ってくるわ」
 と言うなり、バッグを手にすると、意外にしっかりした足取りですたすた
 部屋から出て行った。










            第4章            by saeko



廊下の薄い絨毯を力強く踏みつつ、遠ざかっていく足音。
取って代わるように訪れた平穏な静けさに、直人はひとり溜息をつく。
そのとき、ためらいがちに小さく自分を呼ぶ声に気づいた。

「兄さん」
「起きたのか直也。気分はどうだ。大丈夫か。何か食べるか」

矢継ぎ早に訊ねながら気遣わしげな表情で自分を覗き込む直人に、直也は安心する。
よかった。麻理子さんに言われたこと、兄さんは気にしてない。というかわかってない。いやむしろ聞いてない。
さすがはぼくの兄さんだと、直也は心の中でだけ深々と頷いた。
異常だなんて、幾らなんでもひどい。あんなの、ただの ――― そう。
嫉妬、だ。

「麻理子さんは」
「酒が足りないとかって言い出して買いに行った。全く、いい迷惑だ。あの酔っ払い女」

苦々しく言い捨てる直人にしても、目元をうっすらと染めている。自分だって少し酔い始めてるくせにと直也は微笑む。
本当はずいぶん前から、意識は戻っていた。
二人のやり取りを黙って聞くのは悪趣味だと思いながらも、だが目覚めたことを言い出せない。
研究所での日々に、二人がどんな関係だったか直也は知っている。だがあるとき、直人は彼女に対する感情を一切遮蔽し、完全に意識下へと封印してしまった。以来再会するまで麻理子が直人の表層に浮上したことは、少なくとも直也が知る限り一度もない。
人はそれを忘却というのだろう。直也には麻理子の苛立ちがわかる気がした。

直也にとっても麻理子は特別だった。
彼女の思いは、触れずにいても伝わるのだ。
どこにいても、他に誰がいても、その意識は直人だけをまっすぐに追う。
気づくたび直也はどこかが痛いような、苦しいような気持ちになる。
不安げに揺れ動き、曖昧に漂いながらも、たったひとりの存在を強く求める心。
麻理子自身も意識しない深層から生じる感情の波に、直也は知らず干渉を受け同調していたのかもしれない。
再会したとき、覚えのある温かさが直也に再び触れるのを感じた。
それは以前と少しも変わらない、懐かしいさざなみとなって打ち寄せる。
―――― ああ、そうなんだ。彼女はまだ、兄さんを。

「みんな、話したの」
「ああ。必要なことは全部」
「・・・・ねえ、兄さん。麻理子さんは、今でも兄さんのこと」
「言うな」

不意に、直人は弟の言葉を遮った。強い口調に驚いた直也が黙り込む。

「後戻りはしない」

過ぎたことだ。おまえが気にする必要はない。
それより熱は、と額へ伸ばされた手を、直也はしかし反射的に避ける。熱なんかないよ。もう平気。
嫌だった。今触れたら、きっとその葛藤が、逡巡が、わかってしまう。
そんなこと知りたくない。自らの不用意な言葉を、直也は後悔した。
だって兄さんもまだ、麻理子さんを。
もしそうだとしたら、ぼくは。

二人が互いの中に混在していると、麻理子は言った。
兄の中に自分が、自分の中に兄がいる。今さら、誰に言われるまでもない。直也にはわかっている。
だからこそ、ぼくたちは互いの半身を「呼び合う」のだと。

「起きられれば、起きていたほうがいい。少しこっちへ来て話に入れ。気がまぎれる」

何かを察したのか、直也から静かに手を引いて直人は離れた。
彼女の相手は俺ひとりじゃ荷が重いからな。笑いながら、卓上のカップをかざして見せる。

「ほら、おまえの好きな森永プリンでも食え」
「別に嫌いじゃないけど・・・子ども扱いしないでよ。ぼくだってもう、少しは飲めるんだから」
「嘘つけ。苦くて美味しくないって言ってたじゃないか」
「美味しいとは思わないよ。でも飲めないのとは別だろ」
「この味がわからなけりゃ一緒だ」
「いいよもう」

二人はようやく、いつもの気安さを取り戻した。
甘えて拗ねて見せながら、直也はまだ重い体を起こす。
ゆっくりとベッドを下り、兄と寄り添うように並んで小さなテーブルに着いた。
無意識にふと、肘が触れる。
だがそのとき。直人の中に、もはや麻理子の影は微塵もなかった。



廊下から、再び足音が近づいてくる。
新しい酒を手に、麻理子が帰ってきたのだ。



近所のコンビニで、目につくものを手当たり次第にカゴへと突っ込んだ。
ビール、日本酒、ワイン、チューハイ。つまみのサキイカ、ちくわ、サラミと言った定番に加え、なぜか「秋季限定・カボチャミント味」ポッキー、やはり限定発売の「魚沼産新米コシヒカリ味」ポテトチップスまで。酩酊状態でほぼ無意識であるにもかかわらず、限定品に弱い女心のなせる業であった。
両手に提げた大きなビニル袋が手に食い込んで、ずっしりと重い。
これ全部、おひとりで・・・?と怪訝そうに訊いた店員の真意を、ここへきてようやく麻理子は理解した。
悪かったわねそんなサミシイ女に見えるわけでも残念これは三人分なの見た目だけはいい男を二人もはべらせて飲むんだからねどうよ文句あるないでしょないわよないに決まった、とかなんとか、レジで管を巻いたことはかろうじて覚えていたのだが。

「負けるもんですか。あたしは、絶対に、負けない、のよ・・・!」

何に勝つつもりなのかはわからないが、酔っ払い特有の馬鹿力も加わって、よろけつつもどうにかホテルの部屋まで戻ってきたのである。目指す扉の前でようやく荷を降ろし、息を切らせてノックしようとした矢先。
部屋の中から、ありえない声が洩れてくるではないか。

「・・・兄さん、やめて・・・いやだよ」
「駄目だ。直也、動くな・・・」

会話がこんなに明瞭に聞こえるなんて、ホテルのくせに防音対策がなっていない。もしや耐震強度も不足していたらどうしよう。アスベスト処理だって危ないかも。ぐるぐると、そんなどうでもいい思考がいちどきに酔った脳内を駆け巡る。
いや、それよりもこの二人は一体何を。

「だって麻理子さん、帰ってきちゃうよ・・・・ねえ」
「構うもんか。あんな酔っ払い、放っておけばいい」
「・・・ん」

ノック直前の手を止めたまま文字通り、氷点下に凍りつく麻理子であった。









             第5章            by シシー



どうしよう。

麻理子は両手にずっしり重いコンビニ袋を提げた格好のまま、
美形兄弟のめくるめく禁断の何とやらが現在進行中・・・・・
と思われる部屋の前で棒立ちになっていた。

とてもじゃないが、入れない。

どうしよう。
麻理子は混乱しつつも、同時に頭の何処かでサーッとパズルのピースが
合わさっていくような感覚を覚えていた。

あの兄弟、
兄弟にしては仲良過ぎ、べたべたし過ぎ、互いへの依頼度高過ぎ、
ついでに二人して顔も良過ぎ、
と色んなスギを見せてくれる奴らだと思っていたけれど、
それってつまり、
二人の間にこういう「関係」があったからだったのだろうか。

ということは何だ、
私と直人との関係が、ああもアッサリ終わってしまったのも、
そのためだったからなのか?
私より血の繋がった実の弟とあんなことやこんなことする方がいいから、
それで?

・・・・いや確かにね、私が直人から手を引いた最大の理由が、
直也くんの存在だったってことは間違いないわよ。

あんな特殊な力を持って、あの山奥に隔離されて、ずっと二人きりで生きてきたのだもの。
あの兄弟は精神的に強く強く結ばれている、互いが互いの拠り所で、
その間には誰も入り込むことは出来ないのだろう、
そう思ったからこそ私は諦めることにしたのよ。
そんな二人の関係にちょっとばかり感動したところも、なくはなかったしね。

・・・・それなのに、
今この部屋の中で起こっていることは何?

私を諦めさせた、何ていうかこう、高尚な(?)な兄弟の絆は何処行っちゃったんですか?
現実はめくるめく禁断の何とやら、だったっていうの?

そんなことが、そんなことが、そんなことが・・・・・・

「・・・・あってたまるもんですかあああぁッ!!」

両手がふさがっているのにどうやって開けたのかは知らないが、
次の瞬間、麻理子は半ば扉を蹴破るようにして、物凄い勢いで部屋の中に飛び込んで行った。

中にいた兄弟は、いきなり意味不明なことを叫びながら土足で部屋の中に突進して来た麻理子を、驚愕の面持ちで迎える。

互いの体をピタと密着させ、寄り添うように座っていたふたりを、
麻理子は両手にコンビニ袋という格好のままで見下ろした。

黒目勝ちの瞳を潤ませ、少しばかり顔を上気させている直也の首筋に、
直人の手が添えられたままになっている。
若干、上半身を直也の方へ傾けた格好のままで、
直人は眉間に皺を寄せ、自分の前に仁王立ちになっている女を睨んだ。

「・・・・おい、何なんだいきなり。直也が怯えるじゃないか」

もっとも直也の方はといえば、
怯えるというより、ただぽかんとして麻理子を見上げているだけなのだが。

麻理子はキッときつい視線を直人に向けると、いきなり相手を罵倒し始めた。

「このスケコマシ!変態!
 よくも弟にそんな真似が出来るわねッ!何考えてんのよ、馬鹿男!
 もう中二病なんてもんじゃない、ただの馬鹿よ!変態よッ!」

いきなり罵倒され、直人は不快そうに顔を歪める。

大体、スケコマシというのは女性の体を弄ぶ輩のことをいうんじゃないのか、
と突っ込みたかったが、直人は「酔っ払いに何を言っても無駄」という法則を心得ていた。それ故、珍しくカッとならずにいられた。

唾飛ばさんばかりの勢いで怒鳴っている麻理子を、
直也もまたぽかんとした面持ちで見上げていた。

ふと直也の中で「修羅場」という言葉が浮かんで消える。

とはいえ、持って生まれた能力のお陰で他人の嫌な部分を散々見てきた彼にとっては、こんなもの修羅場のうちには入らないのだ。










            第6章            by パタ



「ああ~、重かったぁ!」
フーッと息を吐きながら、麻理子はコンビニ袋をテレビが置かれている
長机の上に置いた。
「出掛けたら喉渇いちゃった」
やにわに缶チューハイのプルトップを開けて、立ったままグビグビッと
喉に流し込んだ。
「うん。シークァーサー味イケる!また買って来てよかった」
独り言をしゃべる麻理子の様子を2人は座ったまま黙って見ていた。
「ん?あに?あにジロジロ見てんのよ!」
出掛ける前はそうでもなかったが、戻ってしばらく経つとだんだん目が据わり始めた。
「そんなに何を買い込んだんだ?」
直人は静かに言った。
「ハン(`e')飲みたいんだったらそう言えばいいれしょ。
 っんとにいっつも愛想がないんらから。可愛いくないっつーの!」
呂律も怪しくなってきた。
「あのさ~あんた達さ~、少しは離れたらどう?
 慎みってもんを知りらさいよ、ったくもう」
そんな麻理子の言葉を、いつ兄がキレるかハラハラしながら直也は聞いていた。
「飲み過ぎだ、麻理子。もうその辺でやめとけ」
直人は立ち上がった。
「や~よ~ら。やめないよ~ら」
直人に向かってアッカンベーをした。
直也は心配そうに兄と麻理子を交互に見やった。

「直也!!」
アッカンベーをした指で、突然直也を指差した。
麻理子に呼び捨てにされたことがない直也はビクッとした。
「あなたねえ、嫌らことは嫌らってはっきり言いらさいよ。
 まっ、大方直人がさ~、
 兄の権力振りかやして無理強いしてるんれしょ?決まってゆわよ」
「いい加減にしろ!」
いきなり話を振られた直也を庇うように、少し語気を強めて言った。
「お前は一体俺達に・・俺にどうして欲しいって言うんだ?」
「そんらのわかんらいわよ!」
「何?」
「いきなりどうして欲ひいって聞かれて、
 すぐにわかゆ訳な~いじゃない。
 そんらこともわかんらいから、あんたはバカらっちゅーの」
兄がピクッと反応するのが直也にはわかった。
「兄さん」
諌めるように声を掛けた。
「ああ、わかってる」
直也の目を見てうなずいた。
「ハハハハハ・・わーった!今わーった。
 あたひがあんた達にして欲ひいこと、ズバリ言うわよ」
「何なんだ?」
「して見せらさいよ」
「あ?」
「して見せらさいよ、さっきの続き。
 あたひの目の前れ、して見せらさいって言ってんの!」
「何をバカなことを・・」
「ろうせ2人の世界に入り込むんれしょ?
 あたひなんかいてもいなくっても同りれしょ?
 さあ、やりらさいよ。ほら、ほら」
「バカか、てめえは!?ふざけたこと言うな!」
直人の怒りの水銀柱が少しずつ上昇を始めた。
「おらおら、とっとと取っ掛かりらさいよ。
 あたひの言うことが聞けらいって言うの?」
「てめえは俺のこと変態呼ばわりしたが、
 人の行為を見せろとほざくてめえこそ変態だろうが!!」
「兄さん、ダメ!」
直也は思わず立ち上がって、直人の手首を両手で掴んだ。
「フン。ら~にさ。男ろうひでひかも実の弟にあんらことひてる方が、よっぽろ変態れしょうが!」
「こらえて!兄さん」
直也は兄を見上げながら、更に力を入れて手首を掴んだ。
しかし、直人の怒りの波動は長机の上の花瓶をガタガタ揺らし始めた。
「出てけ!今すぐここから出・て・行・け!」
小声だったがドスを効かせながら、ドアの方を顎でしゃくった。

「もおおおお、怒ったわよ~~~」
眉根を吊り上げた凄い形相で、かなり重いはずのコンビニ袋の1つを
ガバッとひっ掴むやいなや、遠心力をつけて直人に向かってブ~ンと
振り回した。
その様子はさながら、オリンピックのハンマー投げ選手のようだった。
「あたひはね、れーったいに負けらいの。負けらいんやかや」
と言いながら、コンビニ袋をわざと直人にぶつけるように振り回したが、直人がヒョイと体をかわしたので、1度目の攻撃は空振りに終わった。
「バカな真似はやめろ、麻理子」
「麻理子さん、やめて。兄さんをあまり挑発しないで」
これ以上兄を刺激したら大変なことになると、直也は状況を判断した。
「麻理子さんは兄さんの゛力”を知ってるでしょう?だから・・」
「止めゆなぁー、こ、このぉ直人のバカ、ひぇんたい!」
再び袋を振り回して来たが、何故か今度は直人は逃げなかった。
肘を体の前にかざし袋を受け止めた時、肘下の柔らかい部分に缶が当たったようなバコッという鈍い音がした。
「・・・ッテ」
直人は少し顔をしかめた。
「兄さん、大丈夫?」
直也は怒りの度合いを心配しつつおそるおそる兄を見上げたが、
「よせ、麻理子」
と意外な程落ち着いた声が返って来た。怒りの水銀柱は短時間で目盛りをだいぶ下降させたかのように思えた。だが麻理子は、
「も、もう一丁!」
とシートノックに挑む選手のような見事なスピリットで3度目の攻撃を試みた。
「麻理子さん、もうやめて!!」
酔っ払い故に足元が覚束なく、更に遠心力も加わっている為に体が振られ、直人に当てるつもりが直也に当たってしまった。
「うわッ!」
当てられた上腕部を直也は押さえた。
「直也!!!」
直人はすぐさま直也を振り返った。  
これには怖い者知らずの酔っ払いも、思わずハッとなった。
直人の大切な大切な直也を、不可抗力とはいえ攻撃してしまったのだ。
(龍の逆鱗に触れてしまった!)
正常とは言い難い頭でもこれに関しては何故か瞬時に判断できた。
「麻理子!」
声と同時に視線は麻理子をスキャンした。
「兄さん、やめて~!麻理子さんに゛力”使っちゃダメだよ!!」
直也の必死な訴えによって、直人は寸前に急所をはずすことができた。
代わりに攻撃を受けたのは、麻理子が手にしていたコンビニ袋である。
P.Kの見えない弾道は、袋の中の雑誌を貫通したのだった。      

「兄さん!」
直也は直人に駆け寄り、その腕を掴んだ。
乱れた呼吸を整えながら、自分の腕を掴んだ直也の手に無意識に自分の手を重ねた。直也もいつものように見上げて来た。
「大丈夫だ。間一髪、直撃は避けられた」
とはいうもののP.Kの余波までは避けられず、麻理子はその振動で体が大きくふらつき床に倒れ込んでしまった。
「ま、麻理子さん!」  
穴の開いたコンビニ袋は窓際まで吹っ飛んでいた。
「だ、大丈夫?麻理子さん」
直也は長机の下でへたり込む麻理子のそばへ行こうとした。その時、
「ウウウ・・・・ウエエエエエ~~~ン」
麻理子は泣き出した。就学前の子供のように大声を上げて。
直也は(どうしよう?)という様子で兄を振り返り、直人は呆れ顔で溜息をついた。
「ウエエエエェ~~~ン・・・・」
説教魔の次は泣き上戸だ。目元に両人差し指を当ててあられもなく泣いている。
「ごめんね、麻理子さん。何とか直撃だけは避けようとしたんだけれど」
直也は麻理子のそばに屈み込んだ。
「ウウウウ・・・バカ~~〇▲◇*▼#・・・」
意味不明のことを口走るだけである。
直人も麻理子のそばまで来て、泣いている姿を見下ろした。
「フン。いい様だな。今までしたこと、たぶん明日になったらきれいさっぱり忘れてるんだろうな?酔っ払いなんてそんなもんだ」
そう言い残すと、バスルームの方へ歩いて行った。
だが、蝶番がはずれた出入り口のドアを見つけた。
先程麻理子が両手がふさがっている為、力任せに蹴破ったのが原因であろう。
「何だ、これはーーッッ!?これもお前の仕業か~~~!?」
酔っ払いの想定外の力に、怒っていいんだか呆れていいんだかわからない状態である。
シャワーの前に先ずはドアの修理だ。このままにしておいたら自分達のせいにされ、チェックアウト時に弁償代金を請求されてしまう。直人は蝶番の付近に視点を合わせP.Kを発動した。
直也はというと、麻理子のそばから立ち上がり、吹っ飛んだ拍子に散乱してしまった袋の中身を拾い集める作業に取り掛かった。
何を思ったかレディースコミックを買ったようで、P.Kによって大きく穴が開きまだ燻っていた。
チューハイやカクテル、ビールの缶がゴロゴロ7、8缶。
表面はへこんでいるものの、中身には影響はない。
サラミ・さきいか・チーズかまぼこ・スナック菓子等その他諸々。
こちらは無傷であった。
「かぼちゃミント味?」
摩訶不思議なテイストに、パッケージの字を声に出して読んでしまった。
「魚沼産新米コシヒカリ味?こんなのあるんだ」
クスッと笑う。
あらかたの物品を集めて長机に乗せると、もう一度麻理子のもとへしゃがみ込んだ。
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
「ウウ・・ヒックヒックヒック・・バカに・・バカにひないれよ、
 そっちのせいなんらから・・・」
どこかで聴いたような歌の歌詞をブツブツと唱えていた。
(麻理子さんがこんなになってしまったのは僕達のせいだ。でも、僕達にはどうすることもできない。麻理子さんが兄さんを求めるのと同じくらいに、いやそれ以上に、それこそ生きる為に僕には兄さんが必要なんだ。兄さんとは離れられない。もし兄さんがいなくなったら僕は・・)
考えると胸が痛んだ。それに耐えるように俯いていると、
「泊めてよ」
「えっ?」
ハッとして顔を上げた。
「ここに泊めて」
「え?あ・・」
戸惑って兄のいるバスルームの方を見た。
「あーたが決めゆの!お兄さんの意見をいちいち聞かなくても、今あーたがここで自分れ決められゆれしょ?ね、こんら状態であたひが車運転れきると思う?ろうよ?」
絡んで来る麻理子に気圧されて、直也は思わず首を縦に振ってしまった。
「よし!よしよしよし、いい子ら。決まったねえー!
 友枝麻理子、今夜は東京に泊まりま~す!!」
バックバンドのサンダルを脱ぐと、スクッと立ち上がった。
ライトグレーとピンクとラベンダーの水玉がプリントされたシフォンのプリーツスカートの裾を揺らめかせ、クルクル回転しながら窓際のベッドに倒れ込んだ。
そこは直人が使っている方だった。
「ああ、暑い!」
サーモンピンクのカットソーに手を掛けた。
「ちょ、ちょっと、麻理子さん。そ、それ以上は・・・」
慌てる直也にお構いなしに勢いよく脱ぐと、ポ~ンと窓際に放り投げた。
同色のキャミソール1枚になると、ベッドの上に胡坐をかいた。
「いーい?外に出ると、自分で決めらきゃならないことがいーっぱいあゆの。いつまれもあんらバカな兄貴になんか頼っていらいで、自分れ物事を決めらさいね。わかったあ? 以上、おねいさんからの出所祝いの言葉れした。ヒャーハハハハハハハハ・・・」
言い終わったとたんにうつ伏せに倒れた。
「うるせえぞ、麻理子」
髪を拭きながら直人がバスルームから出て来た。
「直也、お前も入っちまえよ」
それには返事をせず兄のそばへ行く。
「麻理子さんが今夜はここに泊まりたいって」
直人の目を見てから、麻理子の方に視線を移した。
「ダメだと言っても聞き入れてもらえる状態じゃないな」
2人はベッドに横たわる麻理子を凝視した。
                         










            第7章            by siko



「ったく、何て格好してやがるんだ」
 と、兄は苦々しげな顔つきだが、直也はあたふたとランジェリー姿の
 麻理子の身体に布団を掛け、脱ぎ散らかされた女物の衣服をかき集めて
 そっと枕元に置いた。
 そんな直也の薄赤くなった顔を見て、
「あ、そうか、お前」
 と、思い出したように直人が言った。
「まだ熱っぽいか、どうする、風呂はやめにしとくか?」
 無造作に右手を伸ばして直也の頭をくいと引き寄せた。
 おでこがこつんとぶつかり、石けんとシャンプーの匂いに混じって、
 酒気を帯びた吐息が顔にかかる。
「………兄さん」
 困ったような声で呼びかけて、直也は兄の胸をそっと押し返そうとしたが、
 暖かく湿ったてのひらにまだしっかり後頭を押さえられて動けない。
「大丈夫だから」
 と言うとようやく手を離したが、今度は間近に顔を覗き込んで、
「そんなに熱くないが、顔が赤いな」
「…………………………」
 風呂から出たてでおれの身体の方も熱いのか?と真面目な顔で言う
 直人の顔を、直也は黙ったまま呆れたように眺めた。
 全く。
 これだから、麻理子に誤解されるのだ。

 彼女が戻ってくる直前にも、兄はこうして額を合わそうとした。
 麻理子が酔いに任せて兄に言いがかりをつけ、部屋から出て行った後、
 ベッドから起き出した直也だったが、その際に熱はないかと心配した
 直人が額に手をのばしてきたのだ。
 その手が触れる寸前に思わず避けてしまったのは、兄の麻理子に対する
 気持ちを読んでしまうのが怖かったからだ。
 だが、酔いのまわっていた直人は、今度は子どもの頃のように額で熱を
 測ろうとした。
 プリンの件同様、いつまでも子ども扱いされてるようでうんざりしたし、
 こんなところを戻ってきた麻理子に見られて、あらぬ誤解を受けても困る、
 と思い、いやだよ、と避けようとしたのだが。
 あまつさえ、その懸念を口に出したのだが、酔っぱらった兄は、構う
 もんか、放っておけ、といつになく強引だった。
 その直後、麻理子が突入してきたのだったが、あの時の会話を後から
 反芻してみた直也は、やっぱり心配していた通りになってしまった、と
 どんより落ち込んだ。
 更に、まずいことには。
 両手に重そうなコンビニ袋を提げたまま、ドアを蹴破って入ってきた時の
 彼女の凄まじい形相を思い出し、直也は深い憂慮のため息をついた。
 酔っぱらっていたとはいえ、いや、酔っぱらっていたからこそだろうが、
 一撃でホテルのドアを蹴破った麻理子。
 瞬間、またあのYが現れたのかと心底びびった直也は、反射的に兄に
 ぴったり身をすり寄せてしまった。
 そして、多分兄の方も同様のことを思ったのだろう、咄嗟に弟を庇おうと
 抱き寄せた。
 思うに、それが彼女の疑惑を決定づける要因となったのだろう。
 その後の麻理子の、聞くに堪えない罵詈雑言を思い起こすと、彼女が
 どのような妄想にかられたのか、だいたいの想像はつく。
 それを思うと、困惑と羞恥心と焦燥感に身悶えしたくなる。
 不覚だった、と今更悔やんでみても遅いのだが。
 ちょっと待って、それは違う、と、誤解を解こうとした矢先、やおら一気
 飲みしたチューハイで麻理子はすっかり出来上がってしまったらしい。
 タガが外れたような幼児言葉で妄言を連射し、中身の詰まったコンビニ
 袋を投げつけてきた彼女に、遂にキレた直人のPKが向けられた時には、
 心臓が止まるかと思った。
 幸い、コンビニ袋を貫通しただけで済んだのだが、胸を撫で下ろす間も
 なく、今度は泥酔した麻理子が号泣しはじめた。
 それを一生懸命宥めたり、床に散乱したコンビニ袋の中身を片付けている
 うちに、いつのまにか復活した彼女に懇願され、気づけばベッドの片方を
 占領されていた。
 ………何で、こうなるの?
 狐につままれたような面持ちで、どこかで聞いたような台詞を呟く。
 酔っぱらいの割には理路整然と説得してきた麻理子に、まんまと丸め込ま
 れてしまった、と思えるのは気のせいか? 
 そして今や、誤解したままの無念さもあらわに彼女は爆睡している。
 意味不明の寝言と怨念の籠もった唸り声、更には不満げな歯ぎしりまで
 をもBGMに従えて。

 それにしても。
「麻理子さん、何かオソロシイ勘違いをしてたみたいだけど」
 と、おそるおそる兄の顔を上目遣いに窺うと、
「まったく、言うに事欠いて人のことを変態呼ばわりとはな」
 ドライヤーで髪を乾かしながら直人は不愉快そうに言う。
「いったいどこをどう見て、おれたちがそういう関係だなんぞと思いつき
 やがったんだ、この女は?」
 首をひねり、本気で疑問に思っているらしい直人に、いや、あんな場面に
 遭遇したら誰でもそう思うかも、と内心でツッコミを入れる直也。
 酔っぱらいの妄言とはいえ、麻理子の指摘はいちいち耳に痛かった。
 人を子ども扱いするくせに、兄さんの方こそ、場の空気とか女心の機微が
 全く読めてないんだからなあ、と直也は思わず苦笑してしまう。
 いや、笑っていられるような事態ではないような気もするが。
「頭、痛いよね」
 と思わず呟いてしまってから、はっとする。
 途端、ブワーッというドライヤーの音がぴたりと止まり、
「大丈夫か、直也!やっぱり風邪引いたんじゃないのか?」
 案の定、血相変えた直人の顔がアップで迫ってくる。
 まずい!と冷や汗混じりの縦線をさーっと額に描き、
「大丈夫だってば。そうだ、ぼく、お風呂入ってくる!」
 慌ててそう宣言した直也は、大急ぎでバスルームに駆け込んだ。





 数十分後。
 気分良く風呂から上がってきた直也は、自分のベッドで寝ている直人を
 見つけて目を丸くした。
 テーブルの上を見れば、そこに林立していたヘコみのついたビール缶の
 数本が空になって転がっている。
「………あれからまた飲んだわけ?」
 脱力気味の声で呟く。
 もういい加減、ほろ酔い気味だったのに。
 酔いつぶれる筈だよ、と呆れつつも、兄さん、よく我慢してると思った
 けど、やっぱりストレスたまってたんだな、と些か気の毒になった。
 とはいえ。
「ぼくはいったい、どこで寝たらいいんだろう?」
 いや、もちろん、妙齢の女性と一緒というわけにはいかないし。
 と、そこまで考えた時、直人がむくっと身を起こし、
「ん、直也か。風呂から出たのか?」
 眠たげな声で言ってあくびを一つすると洗面所に立っていった。
 暫くして戻ってくると、まだ途方に暮れてツインベッドの真ん中に
 立ちつくしていた直也を見て、
「何だよ、早く寝ろ。今度こそ本当に風邪引くぞ」
 声を掛けるなり、ぐいと身体を抱き込むようにしてそのまま一つベッドに
 雪崩れ込む。
「え、あの。でも……うわ、酒臭いよ、兄さん」
 などと言っているうちに、もう兄の方は、麻理子に負けず劣らず、
 正体もない酔っぱらいの爆睡に突入してしまった。
 しかも、両腕にしっかり弟の身体を抱いたまま。

 これだからイヤだったんだ、と直也は布団の海に溺れ、既に熟睡中の
 兄の、無意識故のがっちりきつい抱擁から逃れようともがきながら、
 頭の片隅で思った。
 起きている間中テンパってる反動なのか、子どもの頃から直人は結構
 寝付きがいいし、寝相も奔放だ。
 その上、直也を庇うように抱いて寝ていた幼い頃のことが、酔って
 前後不覚になった頭に鮮明に再生されてしまったらしい。
 子どもに戻ってしまった兄に抱きつぶされ、まるでテディ・ベアか
 安全毛布になった気分で、
『ちくしょー、酔っぱらいなんか、大っキライだーッ!』
 と心に叫ぶ直也だった。








                              〈終了~!〉






おまけ

翌朝。
麻「しまった、私寝ちゃったの?せっかく直人と一緒の部屋に泊ま………!
  何よっ?こ、こいつら、兄弟で一緒のベッドに寝てたのーッ?」
兄「ん……何だよ、朝っぱらからうるせえな………おい、直也、起きろ、
  いつまで寝てんだ?」
弟「……だって、よく眠れなかったんだもん、兄さん、一緒に寝ると、
  いつもぎゅっとするし」『ぼくは抱き枕じゃないんだってば』
麻「し、信じらんなーいッ!」
兄「おい、枕投げんなよ」
弟「あ、違うんだ、麻理子さん、そういうことじゃ……」
兄・麻「「そういうことって何(だ・よ)?」」
弟「いや、その………2人の寝言と歯ぎしりといびきがすごくて、
  なかなか寝つけなかったんだよ」『これだから酔っぱらいは』
麻「嘘っ、信じらんなーいッ!」
兄「おい、布団を蹴飛ばすな!」
麻「ぅぎゃー、やらしーッ!兄弟で一つ布団に寝るなんて!」
兄「何だ、お前、もしかして直也と一緒に寝たかったのか?!」『許せん…』
麻「どこまですっとぼければ気が済むの?この鈍ちん直人!
  泣くわよ!泣いて暴れてやるーッ!」
兄(の呟き)「こいつ、昨夜のこと、しっかり覚えてんじゃねえか」
弟「……………………」『頭痛いよ兄さん』

      ちゃんちゃん♪ 







蛇足

麻「あーっ、誰ッ、あたしのカボチャミント味ポッキー食べちゃったの!」
 『お目覚の楽しみにしようと思ってたのにぃッ!』
兄「あんな不味いもん、よく食えるな」
弟「……………………」

さて、ここで問題です。麻理子のカボチャミント味ポッキーを食べて
しまったのは、兄、弟のどちらでしょうか?(殴)



    

テーマ : NIGHT HEAD - ジャンル : アニメ・コミック

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